2020年9月22日の国連総会において、中国の習近平国家主席が、2030年までにCO2の排出量を減少に転じさせ、2060年までにカーボンニュートラル※を目指すと表明し、各国で大きなニュースとなりました。(※カーボンニュートラルとは、CO2の排出量と吸収量が同じ量であるという考え方です)。これまで中国は、パリ協定において、自国のGDP当たりの排出量を2030年までに減少させていくという目標を設定していました。これは、GDPの成長にあわせて、CO2の排出量も増加していくという考え方です。今回の国連総会での発言は、CO2排出量の総量を削減させると初めて表明したものです。以下に、国連の公式ニュースの一部をご紹介します。
‘Enhance solidarity’ to fight COVID-19, Chinese President urges, also pledges carbon neutrality by 2060
Calling for all countries to honour the historic Paris Agreement, President Xi said China would increase its Nationally Determined Contributions by adopting new policies and measures.
“We aim to have CO2 emissions peak before 2030 and achieve carbon neutrality by 2060. We call on all countries to pursue innovative, coordinated, green and open development for all”.
He said multilateralism “with the UN at its core”, was essential, calling on all leading economies to “provide more global public goods, take up their due responsibilities and live up to people’s expectations.”
引用元:UN News https://news.un.org/en/story/2020/09/1073052
なお、国連総会では、カーボンニュートラルを実現する具体的な政策には言及していません。中国では、建国後の1953年以来、基本的に5年ごとに5年間の国家運営プランを定め、このプランに基づいて政策を策定及び実施しています。次回の5カ年計画である第14次五カ年計画(2021~2025年)は、2021年3月に開催される全国人民代表大会(全人代)という日本の国会に相当する大会で公表される予定です。公表に向けて、2020年11月3日に第14次五カ年計画の草案が発表されましたので、地球温暖化政策に関係する部分を抜粋してご紹介します。
新华社北京11月3日电
中共中央关于制定国民经济和社会发展第十四个五年规划和二〇三五年远景目标的建议
(2020年10月29日中国共产党第十九届中央委员会第五次全体会议通过)“十四五”时期是我国全面建成小康社会、实现第一个百年奋斗目标之后,乘势而上开启全面建设社会主义现代化国家新征程、向第二个百年奋斗目标进军的第一个五年。中国共产党第十九届中央委员会第五次全体会议深入分析国际国内形势,就制定国民经济和社会发展“十四五”规划和二〇三五年远景目标提出以下建议。
十、推动绿色发展,促进人与自然和谐共生
坚持绿水青山就是金山银山理念,坚持尊重自然、顺应自然、保护自然,坚持节约优先、保护优先、自然恢复为主,守住自然生态安全边界。深入实施可持续发展战略,完善生态文明领域统筹协调机制,构建生态文明体系,促进经济社会发展全面绿色转型,建设人与自然和谐共生的现代化。
35.加快推动绿色低碳发展。强化国土空间规划和用途管控,落实生态保护、基本农田、城镇开发等空间管控边界,减少人类活动对自然空间的占用。强化绿色发展的法律和政策保障,发展绿色金融,支持绿色技术创新,推进清洁生产,发展环保产业,推进重点行业和重要领域绿色化改造。推动能源清洁低碳安全高效利用。发展绿色建筑。开展绿色生活创建活动。降低碳排放强度,支持有条件的地方率先达到碳排放峰值,制定二〇三〇年前碳排放达峰行动方案。
36.持续改善环境质量。增强全社会生态环保意识,深入打好污染防治攻坚战。继续开展污染防治行动,建立地上地下、陆海统筹的生态环境治理制度。强化多污染物协同控制和区域协同治理,加强细颗粒物和臭氧协同控制,基本消除重污染天气。治理城乡生活环境,推进城镇污水管网全覆盖,基本消除城市黑臭水体。推进化肥农药减量化和土壤污染治理,加强白色污染治理。加强危险废物医疗废物收集处理。完成重点地区危险化学品生产企业搬迁改造。重视新污染物治理。全面实行排污许可制,推进排污权、用能权、用水权、碳排放权市场化交易。完善环境保护、节能减排约束性指标管理。完善中央生态环境保护督察制度。积极参与和引领应对气候变化等生态环保国际合作。
37.提升生态系统质量和稳定性。坚持山水林田湖草系统治理,构建以国家公园为主体的自然保护地体系。实施生物多样性保护重大工程。加强外来物种管控。强化河湖长制,加强大江大河和重要湖泊湿地生态保护治理,实施好长江十年禁渔。科学推进荒漠化、石漠化、水土流失综合治理,开展大规模国土绿化行动,推行林长制。推行草原森林河流湖泊休养生息,加强黑土地保护,健全耕地休耕轮作制度。加强全球气候变暖对我国承受力脆弱地区影响的观测,完善自然保护地、生态保护红线监管制度,开展生态系统保护成效监测评估。
38.全面提高资源利用效率。健全自然资源资产产权制度和法律法规,加强自然资源调查评价监测和确权登记,建立生态产品价值实现机制,完善市场化、多元化生态补偿,推进资源总量管理、科学配置、全面节约、循环利用。实施国家节水行动,建立水资源刚性约束制度。提高海洋资源、矿产资源开发保护水平。完善资源价格形成机制。推行垃圾分类和减量化、资源化。加快构建废旧物资循环利用体系。
引用元:新華社通信 http://www.gov.cn/zhengce/2020-11/03/content_5556991.htm
これから2021年3月の全人代に向けて、この草案に具体的な数値目標などが加えられていきます。引き続き、米国と同様、世界最大の地球温暖化ガス排出国である中国の地球温暖化政策についてもウォッチしていきたいと思います。