今回は国内で生産される電力の100%が自然エネルギーの国、アイスランドの取り組みを紹介します。※本記事で使用している引用表記の無い写真は、筆者(光岡)が2019年8月に撮影したものです。
アイスランド共和国
アイスランドは、環境先進国として世界から注目を集めています。また国連の関連団体が作成している世界幸福度ランキング・レポート(2019年)で世界第4位であり、レポートの社会的サポート部門では世界第1位となっています。スポーツ用義足で世界トップシェアを占めるオズール社もアイスランドの企業です。(参考)世界幸福度ランキング(United Nations Sustainable Development Solutions Network)
基礎データ(出典:外務省アイスランド基礎データ) | |
面積 | 10.3万平方キロメートル(北海道よりやや大きい) |
人口 | 34万8,580人(2017年12月 アイスランド統計局) |
首都 | レイキャビク |
言語 | アイスランド語 |
主要産業 | 観光業,水産業,水産加工業,金属(アルミニウム精練) |
一人当たりGDP | 67,570米ドル(2017年推定値,IMF)※日本の約1.8倍 |
エネルギー政策
以前、アイスランドの電力は化石燃料を使った火力発電がメインでしたが、1970年代の石油ショック以降、再生可能エネルギーへ転換してきました。現在、アイスランド国内で作られている電力は、再生可能エネルギー100%(地熱発電、水力発電)です。他方、アイスランドで必要な一次エネルギーは、地熱65%、水力20%、化石燃料15%の割合となっています。化石燃料は自動車や輸送業で使用するガソリンが中心であることから、アイスランド政府は、電気自動者の導入や炭素税を段階的に増税していくことにより、2040年までにカーボンニュートラルな国となる目標を掲げています。
(参考)アイスランド政府公式ウェブサイト(エネルギー政策)
Iceland’s Climate Action Plan for 2018-2030
The Icelandic Government announced a new Climate Action Plan in September 2018, intended to boost efforts in cutting net emissions to meet its Paris Agreement targets for 2030 and reach the government‘s ambitious aim to make Iceland carbon neutral before 2040. Climate change will have a big impact on Iceland and Icelandic waters, as on most other countries and regions. Almost all of Iceland‘s glaciers are receding. Glaciers cover some 11% of Iceland today, but scientists warn that they may largely vanish in the next 100-200 years if warming trends are not halted. Of special concern to Iceland is ocean acidification, which may have a profound impact on the marine ecosystem. Rapid acidification is observed in parts of Icelandic waters, changing the habitats and viability of bivalves and many other organisms.
レイキャビック市内の充電スタンド
アイスランドの企業(オズール社)
人口約34万人のアイスランドには、登録上、約3万社以上の企業があり、いくつかの業界で世界のトップシェアを占める企業もあります。そのうちの一つが、義肢装具で世界シェア2位のOssur(オズール)社です。1971年にアイスランドで設立され、現在3000人の社員が世界各国で働いています。トップアスリートと共同でスポーツ用装具を開発しており、日本のパラアスリートもオズール社と契約しています。
引用元:Ossur公式ウェブサイト
今回、在日本アイスランド大使館に協力をいただき、オズール本社を訪問し、開発現場の視察及びインタビューをさせていただきました。同社は、世界15カ国に子会社を持ちグローバル市場でビジネス展開をしていますが、アイスランド本社工場においても、装具部品の製造から組み立てまで、すべて自前で行い、開発エンジニアはほとんどアイスランド人を雇用していました。その理由も含め、アイスランドにおける事業運営の強みについて伺ったところ、以下のような回答をいただきました。
- 電力が安い
- アイスランド人技術者のスキルが高い
- 地理的条件が良い(主要市場であるヨーロッパと米国へ近い)
各回答の詳細については、後日、ご紹介します。