【まもなくスタート】私のSDGsチャレンジ特集

ハーバード大学・Living Lab(リビング・ラボ)現地レポート

ハーバード大学では、キャンパスや地域を実験場として、人々と地球の健康を向上させる「Living Lab(リビング・ラボ)」というプロジェクトを推進しています。今回の記事では、私が所属しているチームの活動を含め、Living Labについてご紹介します。

Living Labは「私たちのキャンパスはソリューションの一部である」をコンセプトに、学生、教職員、専門家を集めて、キャンパスと周辺のコミュニティを実験場として使用し、ハーバード大学やその他の地域で、現実世界の課題解決に向けたアイデアと新しいソリューションの創出にチャレンジしています。ここで生み出したソリューションは、地域、都市、および世界レベル複製および適用できることをめざしています。

大学は、Living Labの推進にあたり、専門家チームとの連携の機会を提供しています。ハーバード大学ロースクールに、ハーバードおよびMITの修士課程・博士課程の研究者を集めて、法務、ビジネス、公共政策、公衆衛生、工学、およびデザインの専門家とのディスカッションを毎週行っています。

専門家は、TH Chan公衆衛生大学院、ジョンA.ポールソン工学応用科学大学院、ハーバードビジネススクール、ハーバードケネディスクールなど、ハーバードの各学校を代表する教員、およびMicrosoftなど、先進的に気候変動対策に取り組んでいる企業のプロフェッショナル等です。

主なディスカッションのテーマは、温室効果ガスと大気汚染、大気化学、健康への影響、GHG削減とコベネフィット、環境に関する法律、電力市場・規制、土地利用、資金調達、およびデータ収集技術などです。

毎年、修士、博士から30名程度のメンバーが選抜され、複数の学際的な研究チームを発足させます。各チームの共通テーマの一つは、企業や組織による長期的なカーボンニュートラルを達成する手段として、各プロジェクトでGHG排出削減を実現するためのツールを評価、分析、開発することです。

これまでのプロジェクトの一例は、次の通りです。

  • ロードアイランド州の公立学校で健康的でエネルギー効率の高いシステムの導入
  • 再生可能エネルギーの購入と投資のポートフォリオを介したカーボンオフセットの作成
  • 機能しなくなった水力発電所を改修して運営するための複製可能なコミュニティ協同組合の設立
  • アラスカ先住民の村で温室効果ガス排出量を削減し、社会的利益を生み出す
  • 農業の温室効果ガス排出量を削減するための技術革新
  • 農業用窒素肥料削減
  • 米国の農業慣行を変革し、生計を向上させながら、大学が気候目標を達成する方法

2022年は、次の4つのプロジェクトを推進しています。

  1. カーボンオフセットと再生可能エネルギーの共同購入
  2. ボストン市の地球温暖化防止プログラム構築
  3. カーボン除去市場(CCUC)の投資戦略
  4. オクラホマ州の先住民族の農業支援マイクログリッド事業

私は、4.農業支援マイクログリッド事業に所属しており、週3回以上のチームミーティングや教授・専門家とのディスカッション、現地インタビューを通じて、現在、事業計画の策定、ツール評価・分析・開発に取り組んでいます。プロジェクトの詳細については、別途、ご紹介したいと思います。

今後は、ハーバード大学のLiving Labの取り組みを日本の高校や大学のキャンパスへ展開していくことで、SDGsの・サステイナブルな社会構築の学び、地域の課題解決に貢献していきたいと思います。