今回はSDGsランキングで常に上位を占め、環境先進国と言われている北欧スウェーデンの取り組みを紹介します。※本記事で使用している写真は、筆者(光岡)が2019年8月に撮影したものです。(参考)2019年SDGsランキングとスコア
スウェーデン王国(2019年SDGsランキング2位)
スウェーデンは、環境に優しい事業に積極的に取り組んでいる企業IKEAの発祥の地であり、2020年ダボス会議の「世界で最も持続可能な企業100社」に選ばれたH&Mや通信会社のエリクソンがあります。環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんもスウェーデンのストックホルム出身です。
基礎データ(出典:外務省スウェーデン基礎データ) | |
面積 | 約45万平方キロメートル(日本の約1.2倍) |
人口 | 約1,022万人(2018年11月,スウェーデン統計庁) |
首都 | ストックホルム(市人口約96万人,都市圏は約233万人)(2018年11月,スウェーデン統計庁) |
言語 | スウェーデン語 |
主要産業 | 機械工業(含:自動車),化学工業,林業,IT |
一人当たりGDP | 5,511億ドル(2018年,IMF)※日本の約1.4倍 |
ストックホルム
ストックホルムでは自転車で移動をしている市民を多く見かけます。スウェーデンは、環境政策として自転車利用を推進しており、都心部には自転車専用レーンが整備されています。また、街中に置いてあるレンタル自転車や電動キックボードは、その場でスマホにアプリをダウンロードし、クレジットカードの登録で簡単に利用でき、観光客にも便利です。環境省のウェブサイトによると、自転車利用のCO2排出量は0gです(一人が1km移動する時のCO2排出量:マイカーは145g、バスは66g、鉄道は20g、自転車や徒歩はCO2排出量 0g)。(参考)環境省「COOL CHOICE」地球に優しい移動の効用
ストックホルム市内のほとんどのバスは、バイオ燃料で走るBiogasbussです。スウェーデン政府は2040年までに再生可能エネルギーによる発電を100%にする目標を掲げており、水力とバイオマスエネルギーを主要電源と位置付けています。(参考)資源エネルギー庁:再生可能エネルギーとは(バイオマス発電)
Towards 100% renewable electricity production(ENERGY USE IN SWEDEN)
Renewable energy could be power generated from water, wind or the sun, or any other source that is replenished through a natural process. The share of renewable energy used in Sweden keeps growing. Already in 2012 the country reached the government’s 2020 target of 50 per cent. For the power sector, the target is 100 per cent renewable electricity production by 2040.
Sweden has a rich supply of moving water and biomass, which contributes to the country’s high share of renewable energy. Hydropower (water) and bioenergy are the top renewable sources in Sweden – hydropower mostly for electricity production and bioenergy for heating.
引用元:スウェーデン政府公式ウェブサイト(https://sweden.se/nature/energy-use-in-sweden/)
日本にも豊富な水と森林(日本68.5%世界2位、スウェーデン68.4%世界3位)がありますので、スウェーデンの再生可能エネルギー政策は参考になるかもしれません。(参考)林野庁OECD加盟国 森林率上位10か国(2015)
2017年12月に世界で初めて、スウェーデンとフィンランドで、肉を使わないビーガン・ハンバーガー「MCVEGAN」が販売されました。2019年にはマック・ビーガンの人気を受け、ビーガンのナゲットの「VEGAN MCFALAFEL」がメニューに加わりました。北欧諸国では、菜食を実践しやすい環境が整っており、どの飲食店やスーパーでも当たり前のように菜食メニューがあります。
マルメ
スウェーデン第三の都市マルメ市の臨海部「ウェスタンハーバー地区」は、以前は造船・工業地帯でしたが、今は、持続可能な環境モデル地区として注目を集めており、世界中から多くの方が視察ツアーや研究に訪れています。この地区には、2万人以上が住んでおり、現在100%再生可能エネルギーの電力を自給しています。
自給している主な再生可能エネルギーは、太陽エネルギー、風力、水力です。家庭で発生する生ゴミはバイオマスエネルギーとして利用される仕組みが導入されており、すべてのゴミのリサイクル及び消費の最小化に取り組んでいます。また、マルメ市は、この地区へIT企業やバイオ関連企業、大学を誘致することで税収も伸ばしており、持続可能都市のモデルの一つとして参考になることがありそうです。(参考)マルメ市公式ウェブサイト「ウェスタンハーバー地区」
ゴットランド島
ゴットランド島は、スウェーデンで一番大きな島で、約6万人が住んでいます。「魔女の宅急便」の舞台になった島とも言われており、年間80万人の観光客が訪れていますが、今は、地球に優しいエコの島として注目を集めています。ゴットランド政府は、2020年までに島内で使用するすべてのエネルギーを石炭とセメント産業を除き、すべて自然エネルギーにすることを宣言しています。2025年までには再生可能エネルギー100%の持続可能な社会の実現をめざしています。(参考)ゴッドランド政府公式ウェブサイト
ゴットランド島にあるガラス工房です。材料のガラスは、コーラ等のドリンクの空き瓶を砕いたガラスをリサイクルし、100%風力エネルギーで動く窯で工芸品を作っています。写真の作品は、天使をデザインした置物です。
ゴットランド島もストックホルムと同様にバイオガスで動くバスが走っています。ゴットランド島には美しい自然や風景があり、のんびり休暇を過ごしにくる観光客が多いですが、今、島全体で取り組んでいる100%自然エネルギーへの転換により、これから更に島のブランドが向上するかもしれません。